内子で出会ったおいしいもの
今回の旅の宿は、内子町五十崎にある“山荘 山岡”です。民宿のようなペンションのような、アットホームなお宿でした。
この鮎の塩焼きは内子の町の中心を流れる小田川で捕れたものだそうです。宿の奥さんが釣った方のお名前を言われていました。天然の鮎は身が締まって、川の苔の香りがして何とも言えないおいしさです。
卯の花を酢飯代わりに、酢締めの魚で巻いた料理。南予地方の郷土料理で丸ずしと言うようです。お魚はシズだそうです。関東ではエボダイと呼ばれている魚です。丸ずしに使われるのはシズに限らないようですが、内子の魚屋さんの店先にもシズで作ったものが並んでいました。内子ではこの魚を使うのか?この季節だからなのかはわかりませんが・・・。
里芋の芋煮。里芋はこれからが旬だそうで、内子では、鶏肉、油揚げ、椎茸を入れた芋煮が定番のようです。里芋は柔らかくて癖がなく、ホクホクとねっとりのバランスが良く、出汁の利いたうす味の汁がよく浸みています。ロングドライブで疲れた体に染み入りました。
朝食も土地の食材で作られた、心のこもった家庭料理でした。奥様のお人柄が現れた品々、ごちそう様でした。
食事をしながら、お庭にある石窯のことでしばらくご夫妻とお話をしました。思わぬところでパン作りや石窯について、情報交換をいたしました。
今思えば、石窯の写真を撮らせていただけばよかったと、悔やんでいます。^^;
薫り高いコーヒーをいただくと、旅の満足感が増します。
このコーヒーは、内子座の目の前にある“茶屋伊路端”でいただきました。木のにおいのする清潔感あふれるお店のコーヒーは、少し深煎りで薫り高く、非常に美味でした。
お店にあった内子を紹介する本を見て、ご主人に木蝋についてのお話を聞き、いざ散策に出発です。
ひとしきり街を散策したら、ちょうど正午になっていました。佇んだ目の前にはお蕎麦屋さん、当然ながら暖簾をくぐって店内へ・・・。築140年の下芳我亭は旧家の趣たっぷりの落ち着きのあるお店です。
私は内子地野菜の天ざるそば、夫は野遊び弁当を注文。おいしいお蕎麦に揚げたての地野菜、散策で火照った体にちょうど良いクールダウンでした。夫の野遊び弁当はボリュームたっぷりで、お腹がいっぱいになったそうです。薫り高いコーヒーに始まり、おいしいお蕎麦で締めた内子の散策でした。
里芋について、内子の農と食の検定に次のような説明がありました。
愛媛の河原では、秋が近づくと、「いもたき」がはじまります。鍋に里芋、鶏肉のぶつ切り、油揚げ、コンニャク、生しいたけを入れ、ダシに砂糖、醤油を加えて煮るのです。内子の里芋は、長く煮ても煮くずれせず、口の中でとろける旨さがあります。肱川の支流・小田川の洪水によって運ばれた肥沃な土が、サトイモを美味しくするのです。発祥とされる大洲の「いもたき」は、藩政時代、五郎河原に農民たちが鍋を持ち寄って行ったのがはじまりといい、今では愛媛県各地で行われています。